B型肝炎の感染経路

B型肝炎の感染経路

母子間感染(垂直感染)

母子間感染(垂直感染) 現在、我が国のB型肝炎ウイルス(HBV)キャリアーは約150万人と言われていますが、その殆どは母子感染防止策が取られる以前の母子感染による感染者です。
母親がB型肝炎ウイルスに感染していると、出産の時に産道で赤ちゃんが母親の血液を浴びて感染してしまいます。乳幼児は免疫機能が未熟なために、感染しても免疫系が異物と判断できずキャリアーとなります。

1986年からは「HBV母子感染防止事業」 1986年からは「HBV母子感染防止事業」として妊婦検診に於ける検査が実施され母子感染防止策が取られていますから、母子間感染(垂直感染)は殆ど見られなくなっています。

輸血や滅菌不十分な針や医療器具による感染

輸血や滅菌不十分な針や医療器具による感染 厚生労働省は1948年頃にはB型肝炎ウイルスの血液による感染の危険性を認知していたことが確認されていますが、何ら具体的な対策を打ちませんでした。
また、民間の医療現場に於いても一部の医師はB型肝炎ウイルスの血液による感染の危険性を認知していた筈ですが、積極的な行動を起こしませんでした。
実際に厚生労働省が具体的な対策を実施したのは1986年からの「HBV母子感染防止事業」からで、1988年以降からは集団予防接種の注射針や注射筒の使い回しも行わなくなりました。従って、少なくとも1988年以降に於いては、医療現場での注射針や注射筒の使い回しや輸血によるB型肝炎ウイルスの感染は無くなったと考えられます。

医療現場での注射針や注射筒の使い回しや輸血によるB型肝炎ウイルスの感染 逆に言えば、その頃までは大なり小なり医療現場での注射針や注射筒の使い回しや輸血によるB型肝炎ウイルスの感染が有ったと言えます。また、現在でも医療現場以外で滅菌不十分な針などによる感染のリスクは減っていません。例えば、刺青や注射による覚せい剤や麻薬の使用などの場合です。

性行為による感染

性行為による感染

上記の様に少なくとも1988年以降に於いては、母子感染や医療現場でのB型肝炎ウイルスの感染は殆ど無くなりました。しかし、我が国のB型肝炎ウイルスの感染者数は、一説によると年間約2万人のペースで増えていると言われています。この大部分は性行為による感染と考えられます。