我が国のB型肝炎の歴史

我が国のB型肝炎の歴史

B型肝炎ウイルス発見の歴史

B型肝炎ウイルス発見の歴史 これまでの研究でB型肝炎ウイルスに感染した最も古い痕跡は、約8,200万年前の鳥の感染例と言われています。また、哺乳類の感染例は約1,210万年前の感染の痕跡が確認されています。つまり、B型肝炎ウイルスは古くから地球上に存在していた訳ですが、実際にB型肝炎抗原が科学的に発見されたのは、1964年の「オーストラリア抗原」が最初です。そして、1970年にB型肝炎ウイルスが発見されています。

世界的には千数百年前からB型肝炎は病気として認識 つまり、世界的には千数百年前からB型肝炎は病気として認識され1945年頃から血液による感染の危険性は認知されていましたが、実際にウイルスが発見されたのは今から40年ほど前なのです。

我が国の認識

我が国の認識 我が国に於いても肝炎は古くから認識されていました。一般的には血清肝炎や急性肝炎という呼び方で肝炎を認識していましたが、当時の血清肝炎や急性肝炎には現在のウイルス性肝炎と他の肝炎も含まれており医学的な分類がなされていませんでした。
そして、戦後、当時の厚生省は1948年頃にはB型肝炎ウイルスの血液による感染の危険性を認知していたことが記録されています。
また、1953年に世界保健機関(WHO)が集団予防接種の注射針や注射筒の使い回しがB型肝炎ウイルス感染の危険があることを警告しました。国は1950年と1958年に注射針や注射筒を1人1本にするよう告示していますが、地方自治体への具体的な指導には踏み込みませんでした。
そして、1987年にWHOが再び警告した次の年に、国は注射針や注射筒の使い回しを止めています。しかし、その間の30年間以上に渡って、厚生省は何の具体的な対策を講じず現状を放置しました。
同様に民間の医療現場に於いても、B型肝炎ウイルスの血液による感染の危険性を認知していた医師はいましたが、積極的な行動を起こしませんでした。
転機が訪れたのは1970年にB型肝炎ウイルスが発見されてからです。
1982年に我が国にHBs抗原検査が導入され、B型肝炎ウイルス検査が一般的に広がり始めました。従って、輸血によるB型肝炎ウイルスの感染は減っていきます。
また、厚生労働省は1986年からの「HBV母子感染防止事業」を始め、1988年以降は集団予防接種の注射針や注射筒の使い回しも行わなくなりました。従って、少なくとも1988年以降に於いては、医療現場での注射針や注射筒の使い回しや輸血によるB型肝炎ウイルスの感染は無くなったと考えられます。

厚生労働省主導の集団予防接種の注射針や注射筒の使い回し しかし、1988年までの厚生労働省主導の集団予防接種の注射針や注射筒の使い回しによって、少なくとも45万人のB型肝炎ウイルスキャリアーとB型肝炎患者を生んでしまった
訳です。
そして、1995年からは日赤血液センターでの献血に於いて、B型肝炎ウイルスの検査が行われる様になりました。従って、1980年代の後半からは、一般的にB型肝炎の恐ろしさとB型肝炎ウイルスが血液や性行為によって感染することが認知され始めたと言えます。

現在の患者数

現在の患者数 B型肝炎ウイルス(HVB)に感染しているキャリアー(保有者)は、全世界に約3億5,000万人以上存在し既感染者数は20億人に達するというデータもあります。つまり、一度感染し抗体ができて二度と発症しない人も含めると世界人口の1/4以上の人が感染の経験が有るという見方も存在します。
そして、持続感染者であるB型肝炎ウイルスキャリアーの比率が人口の8%以上の高頻度国はアフリカ諸国とアジア諸国に多く見られます。一方、感染頻度が人口の2%以下の低頻度国はヨーロッパや北アメリカや日本などで、日本の既感染者数は約150万人居ると言われています。