「B型肝炎特別措置法」による国の補償 

「B型肝炎特別措置法」による国の補償 

「B型肝炎特別措置法」制定の意味

「B型肝炎特別措置法」制定の意味 「B型肝炎特別措置法」の正式名は「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」で、2012年1月13日から施行されました。この「B型肝炎特別措置法」の成立の意味は、B型肝炎訴訟で和解が成立した原告に速やかに法に基づく給付金等を支給することと給付金の財源を担保することです。

2011年6月28日に締結された「基本合意書」 2011年6月28日に締結された「基本合意書」で、菅直人首相は国の責任を認め被害者に謝罪した上で内容の誠実な実施を約束しています。
しかし、「基本合意書」の内容をよく読んでみると、国はB型肝炎ウイルス感染者全員を救済するとは一言も言ってはいません。裁判で和解が成立した原告に対して給付金を支払うと約束している訳です。

「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」 そして、その支払いの財源を担保するのが、「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」なのです。従って、厚生労働省の指示で集団予防接種の注射針や注射筒の使い回しを完全に止めた1988年以降に生まれた人は「B型肝炎特別措置法」の対象に成らないことは明らかです。
しかし、それ以前に生まれた人でも、集団予防接種によってB型肝炎に感染したことが裁判で証明されない限り給付金の支払い対象にはなりません。
つまり、原告は国を相手に訴訟を起こし和解に至らなければ、何の補償もされないという構図なのです。従って、B型肝炎を発症していないキャリアーは別にしても、慢性B型肝炎やB型肝炎由来の肝硬変や肝細胞癌を抱える患者にとって訴訟の負担は小さくないのが現実なのです。

「B型肝炎特別措置法」の内容

「B型肝炎特別措置法」の内容 「B型肝炎特別措置法」を制定するにあたって政府は対象に成り得る感染者は約45万人で、給付金は30年間で最大3兆2,000億円に上ると試算しています。
この45万人で最大3兆2,000億円という数字は最大限の予想数字と言えます。例えば現在キャリアーの人がキャリアーとして給付金を受け取った後にB型肝炎を発症した場合は、更に給付金が上積みされる仕組みになっています。
つまり、45万人で最大3兆2,000億円という数字は、過去のB型肝炎発症と重症化のデータに基づいて予想された最大限の数字なのです。

対象者は7歳までの間に集団予防接種の際の注射器などの連続使用 「B型肝炎特別措置法」の内容は、次の通りです。
まず、対象者は7歳までの間に集団予防接種の際の注射器などの連続使用により、B型肝炎ウイルスに感染した人、及びその人から母子感染した人とそれらの相続人となっています。
そして、集団予防接種による感染者も戦後、集団予防接種が開始された1948年~1988年の期間に限定しています。何度も触れている様に1988年からは厚生労働省の指導により、集団予防接種による注射器などの使い回しは行われていないからです。
即ち逆に言えば、1988年以降は集団予防接種による感染が殆ど見られないということは、それまでの乳幼児によるB型肝炎感染の殆どは集団予防接種による感染と母子感染による感染だったということに他なりません。(1986年からは母子感染予防も徹底されています)
「B型肝炎特別措置法」のもう1つの重要な規定は、給付金の支給方法と支給額を規定していることです。
給付金の支給方法は、確定判決か和解調停書等を社会保険診療報酬支払基金に請求すれば支払われる仕組みになっています。
また、支給額は病態等によって、50万円~3,600万円と規定されています。