B型肝炎慢性化

B型肝炎慢性化

我が国の慢性肝炎患者

我が国の慢性肝炎患者 我が国の慢性肝炎患者の総数は約130万人と言われています。そして、慢性肝炎患者の約8割はウイルス性肝炎の慢性B型肝炎と慢性C型肝炎患者と見られています。その内、慢性B型肝炎は約15%とされていますから、約15万人~16万人が慢性B型肝炎患者と推定することができます。

慢性B型肝炎患者の殆どは母子感染と集団予防接種による感染 そして、慢性B型肝炎患者の殆どは母子感染と集団予防接種による感染と考えられます。
従来、日本人のB型肝炎の大部分はジェノタイプCのウイルスで、ジェノタイプCのウイルスは幼児期に感染するとキャリアーに成り易いのですが、成人が感染した場合は急性肝炎を発症したあとに治癒するタイプと長いキャリアーを経て慢性B型肝炎になるタイプに分かれます。

最近の傾向では成人が性行為や薬物乱用や刺青が原因 しかし、最近の傾向では成人が性行為や薬物乱用や刺青が原因で感染するジェノタイプAのウイルスが増えており、ジェノタイプAのウイルスはジェノタイプCのウイルスよりも慢性肝炎に移行し易いのが特長と言われています。

慢性B型肝炎

慢性B型肝炎 慢性B型肝炎の定義は、臨床的には6ヶ月以上の肝機能検査値の異常と肝炎ウイルスの感染が持続している状態を意味します。つまり、血液検査に於いてAST(GOT)正常値の9~32とALT(GPT)正常値の4~37を常時超える状態で、 HBe抗原が陽性で血中のB型肝炎ウイルス量が多く感染力が高い状態を意味します。
従って、慢性B型肝炎患者は肝機能の異常を抱え、感染力の高いB型肝炎ウイルスを常に持っていることになります。そのため、慢性B型肝炎の症状は急性B型肝炎の症状が継続されることに他なりませんが、次第に重篤な症状が出てきます。例えば、慢性B型肝炎が続くと、肝臓の解毒作用が働かず血液中のアンモニア量が増えて発症する「肝性脳症」や肝臓の血の巡りが悪くなることで食道静脈瘤ができて破裂することも有り得ることなのです。

慢性B型肝炎のグレードとステージ

慢性B型肝炎のグレードとステージ 慢性B型肝炎は肝臓に炎症が起きた状態が6ヶ月以上継続する状態を意味しますが、慢性肝炎の状態を示す指標としてグレードとステージの2つの指標があります。グレードは肝細胞の壊死や炎症の度合いの指標で、ステージは肝細胞の線維化を示す指標となっています。
繊維化とは肝炎によって肝細胞が壊死と再生を繰り返す中で、肝細胞の中に炎症の跡がケロイドの様に固く残る状態を意味します。このグレードとステージの2つの指標を組み合わせることで、慢性肝炎の進行度の目安にすることができます。

グレード A0(非活動性) 肝細胞の壊死と炎症が無い状態
A1(非活動性) 軽度の壊死と炎症が見られる状態
A2(活動性) 中程度の壊死と炎症が見られる状態
A3(活動性) 高度の壊死と炎症が見られる状態
ステージ F0 線維化なし
F1 軽度の線維化で門脈域周辺に線維が増えている状態
F2 中度の線維化で門脈域と門脈域をつなぐ線維がある
F3 中度の線維化で肝小葉のひずみを伴う
F4 肝硬変

尚、門脈とは胃や腸やすい臓から肝臓に血液を送っている血管で、肝小葉は肝臓の構造や働きから見た最小組織を意味します。
従って、慢性B型肝炎が治癒せずそのまま肝硬変に進む場合もありますが、多くの場合は数年間隔で慢性B型肝炎と肝炎の沈静化を繰り返しながら肝炎の状態を示すグレードとステージが進行して肝硬変に至る訳です。
また、慢性B型肝炎から肝硬変を経ないで肝細胞癌に至る場合も少なくありません。